2005年2月5日土曜日

【美術とのコラボ授業案】 inspired by『The Permanent Collection of New Design Paradise』

フジテレビ木曜深夜放送中の『ニュー・デザイン・パラダイス』が面白いらしい。生徒が、番組から生まれた本『The Permanent Collection of New Design Paradise』(フジテレビ出版)をリクエストして来たので知ったのである。木曜深夜に起きてテレビを観るのがつらい私は未見だが、発売日に届けられた本はとても面白かった。



Introductionにはこう書いてある。「デザイン」それは地球に残された最後の資源。



そして、



デザインの分析    → デザインのリセット  → デザインの再生





既存のデザインを分析したうえで、それをいったん白紙に戻し、全く違う観点から新しいデザインを作り上げる。この普遍的なプロセスに取り組んだのは、日本を代表する気鋭のクリエイターたち。



日常に埋もれたモノに光をあてることで、平坦な世界も生まれ変わって見えることでしょう。それこそがデザインの力なのです。





とある。「横断歩道」や「ポケットティッシュ」や「学校の机」というお題に取り組む日比野克彦や糸井重里たちと新しいデザインで提示されたモノたちを見て、2001年にKJラボでやった「美術作品を批評する」が既視感を伴ってよみがえる。あのKJラボは「デザインの分析」までで終わってしまったが、「デザインの力」を「批評」と言う言葉に置き換えれば、コンセプト的にはそのものぢゃん!と思える内容だ。だから、美術じゃなくて社会科でも部分的には出来る内容だと思う。もっと言えば、社会科と美術と図書館のコラボも可能だ。さらに言えば、全教科と美術と図書館のコラボも可能だ。



ちなみに友人の美術教師は、この番組をDVDに録画編集して授業で生徒に見せていると言っていた。



 



では、高校生が取り組んで面白そうなお題はなんだろう?と考えてみる。



● 名刺



メルプロジェクトの取り組みの1つに「名刺でコミュニケーション」というのがあった。大学生のグループが既存の形に囚われない名刺作りに取り組む。コミュニケーションツールとしての名刺というコンセプトで、プレゼンはその名刺でどのようなコミュニケーションが生まれるかを見せるというようなものだったと記憶している。印象的だったのはハリセン型名刺。渡したい相手の頭をこれでバシッとやるわけだ。楽しい。



 ちなみに『ニュー・デザイン・パラダイス』では、糸井氏が既存の名刺サイズに拘ってどこまで新しいカタチに出来るかに挑戦していた。



● 地図



日本の学校で習う日本地図と世界地図は、日本が真ん中。でもアメリカ人からみたら日本は極東。オーストラリア人からみたら上下逆さまなのではないだろうか。「人それぞれ自分から観た地図がある」ということに「気づいた」デザイナー長友氏は「鉄道時間距離で表した日本地図」をデザインする。時間が介入した3次元マップ!だけど見た目は2次元。これは『ニュー・デザイン・パラダイス』より。



あと、何で読んだか忘れてしまったけど、EZナビウォークの衛星システムだかを利用して、空から見て地図上に絵を描く趣味を持つ人々の話しがある。路地も丹念に下調べして、ここを通ればアヒルの形になるぞ!とか、今度はもっと複雑な図形に挑戦するぞ!とか。で、カタチの通りに自転車で走るわけです。21世紀のケイタイが生んだ新しい風流ですな。



でも「地図」ってほんとに面白くって、こどもの頃から地図が扉に詳細に描かれているファンタジーがお気に入りだった。ノートンの小人たちシリーズも、トールキンの指輪物語も、ルイスのナルニア国ものがたりも、ヤンソンのムーミンシリーズも。 学生の時に手に入れた河出書房新社の『イメージの冒険1 地図』は、今見ても最高に刺激的。でも絶版なんだよね・・・。





他に「カレンダー」「ケイタイ」「Tシャツ」なども取り組みやすいかな。でもベタすぎておもしろい発想が出にくいかもしれない。
(松ユリ)



1 件のコメント:

  1. デザインは映像メディアのひとつの形式ですね。イメージを喚起させるための映像的表現形式ですね。
    kjラボで「芸術を批評する」でさらにそのようなデザインの分析をしたのでしたっけ。
    デザインの分析→デザインのリセット→デザインの再生
    は脳を柔軟にするにはとても有効な分析と総合の方法だと思います。いいですね。社会科でも使えそうなのでチェックしたいと思います。

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