2011年6月29日水曜日

中世の奇話・日本のフランケンシュタイン物語        『長谷雄草紙』を読み解く!                  ~「絵巻」のアニマシオン&メディア・リテラシー~












         ☞7月の例会のお知らせ

〇日時:2011年7月29日(金) 17:20開場 場所:相模原市南新町児童館
 (小田急線・相模大野下車南口徒歩5分 南口を出て駅を背に直進、3つ目の信号
 「相模大野9丁目」、「アイ眼科」の角を右に入り、左側2軒目)

<前口上>
 前回に引き続き「鬼談義」は勿論楽しめますが、今回はちょっとメディア・リテラシーを探究するワークショップ・スタイルの発表です。

 「絵巻」は、空間・時間の表現が映像とは全く違った、「絵巻」独特の技法・手法で行われている と長年思っていましたが、最近感銘を受けた「映像」の表現を超越した素晴らしい魅力がある ことをご紹介します。
 「絵巻」には映像を時系列に沿ってリニアに記録するテープと同じようなメディア、と思われがちですが、さにあらず! 
 磁気テープでは物理的に時間に逆行することはできませんが、常識的に「右から左へと 時空間が流れる絵巻」では、全く逆に「時空間を左から右へ」流すことも可能 なのです。
 「絵巻」では、本筋は右から左へとリニアに流れながらも、あるシーンだけ「左から右への時空間の流れの表現」が可能 なのです。
 有名なクリストファー・ノーランの映画『メメント』に代表されれるような時間の逆行が、部分的に可能なのです。
 「絵巻」は映画以上に見る者に対して「時空間を超えたイマジネーション」を提供する世界最大のエンターテインメントと言っても過言ではないでしょう。 
 ただ、残念なことにその素晴らしさを体現できる観客は、映画ほど多くはありません。 
 しかし、テレビよりは多いと思われます。
 
 最初は「絵巻」のアニマシオンです。
 ①「絵巻」の原作となった物語を聞き、
 ②そのストーリーを4コマの画として表現しながら、
 ③実際の「絵巻」の絵と比較するワークショップを通じ、
 「絵巻」のアニマシオンを体験して頂きます。
 
 ここで取り上げる「絵巻」は、不思議な「鬼」の登場する前代未聞、奇妙キテレツ、日本絵巻史上 希有な存在である作者不詳の『長谷雄草紙』です。
 菅原道真と同時代に実在した文学博士の紀長谷雄(きのはせお)。 
 一族の祖先には紀貫之などがいる名門・紀家の長谷雄が都の朱雀門で「鬼」と双六をい、これに勝って絶世の美女を譲り受けます。 
 しかし、その美女は・・・なんと「鬼」がつくった鬼造人間でした。 
 日本版・フランケンシュタインとも呼ぶべき奇妙なこの話しは、他の説話・絵巻にはありません。 

 『長谷雄草紙』の絵解きの後は、「絵巻」のメディア・リテラシー紹介です。
 日本の四大絵巻(一説には 『鳥獣人物戯画』を除いた三大絵巻ともいわれる)といわれる『源氏物語絵巻』、『信貴山縁起絵巻』、 『伴大納言絵巻』、『鳥獣人物戯画』を基に「絵巻」の技法・種類を紹介、「絵巻」の魅力を探ります。

 事前の予約は不要、どなたでも参加できます。

〇発表者
 映像プランナー 齊藤 正純