2008年1月9日水曜日

1月例会へのお誘い  メディアリテラシーの学び方

来年度のメディアリテラシーの授業(高校の通信制)の教材を作りました。

今回はその概要を説明します。ご意見や批判をいただきたいと思います。

報告者:中澤邦治

日時:2008年1月25日(金) 18:30~

場所:相模原市南新町児童館

私が今回の教材作りで最も参考にしたのは、この「かながわメディアリテラシー研究所」での2年以上にわたる月例会での研究発表とワークショップです。そして水越伸氏他によって書かれた「メディアリテラシーの道具箱」(東京大学出版会)が、教材全体の輪郭を与えてくれました。来年度の教材(高校通信制の学習報告課題)を作るにあたって、それらの学びから多くの着想を得ることができました。

今回の月例会のテーマは「メディアリテラシーの学び方」です。メディアリテラシーをどう教えるか?についていろいろ悩んだすえに、報告課題もワークショップをふんだんに取り入れた授業内容となりました。メディアリテラシーに関心のある方は是非とも参加していただいて、ご意見やご批判をいただきたいです。

2008年1月7日月曜日

12月例会の報告

 あけましておめでとうございます。 

 だいぶ遅くなりましたが、昨年12月22日(土)午後に行われたかながわメディアリテラシー研究所の例会について報告します。

 今回は所員の松田ユリ子さんのもとで教わっている大学生の皆さんが制作した映像作品の上映会をそのまま12月例会としたものです。

 場所は法政大学多摩校舎。松田ユリ子さんが教える法政大学での講座「情報メディアの活用」という司書教諭資格をとるための授業を参観したともいえます。

 この講座は図書館での情報メディア(視聴覚メディア)の活用をどのように促すか?ということを実践的に学んでいくことを目的としていたようで、単に図書館の蔵書管理や情報サービスのために情報メディアの活用をはかることをめざすものではありませんでした。

 学生は10名満たない少人数でしたが、実際に映像制作を授業でおこなうにはちょうど良い人数です。


 学生への課題は、「学校図書館の魅力を伝える映像作品をつくる」ということでした。今年度後期の授業でしたから、始まりは10月。実は私はその2回目くらいの授業に出て、映像作品制作の簡単なレクチャーをしました。私もハンドアウトを用意し、その中でこの授業でのねらいを、①Windowsのビデオ編集ソフトMovie Makerを使って簡単な映像作品を作る。②映像作品製作にあたってはモンタージュの技法を学ぶ。③出来上がった作品を皆で鑑賞して、批評し合う。④映像作品の構成方法と作文の共通点や相違点を分析し、文字メディア表現と映像メディア表現の相関性や相違点を探る、などと設定してみました。

 たしか10月20日でしたが、その時の学生さんはとても緊張していて、半年で映像作品を作るというのだが、できるのだろうか、やる気があるのか、ないのか。レクチャーを終えてなにか不安に駆られもしました。このあとのことがなんとも気がかりな感じでした。

どうなるのかなと思いながら1ヶ月が経ち、すでにグループ分けも終えて、企画会議、絵コンテ・シナリオ作成、、、とすすんでいったようで、11月には中間発表という段取りでした。とても気になっていたので、この中間発表を参観しました。11月24日の土曜日のことです。

 中間発表では、3つのグループに別れたそれぞれの班が、自分らの班の作品がどんな内容なのかを10分程度でプレゼンしました。他の班からと質疑応答が繰り広げられて、ずいぶんと熱を帯びてきたという印象でした。実際の撮影に入っていないので、全体的にはまだ観念的なところもめだち、本を燃やすシーンとか、図書館の取材許可をとっていないなど、現実的でない・甘さが目立つところもありました。

 その後実際に撮影が進められ、1ヶ月がたって12月22日。上映会当日。前日深夜まで編集作業をおこなった班もあったようで、みなさんの動きから本番前の張り詰めた緊張感が感じられました。(以前とは見ちがえるようでした。)


 上映発表会用の普通教室にはプロジェクター&スクリーンがセットされていました。この講義を受講していない学生さんや所員の中山さんや司書のたまきさん、湘南映像祭の森さんなどなど参観していて、30名近くの盛況な上映会となりました。


 第1班の作品は、図書館の否定的な・面白くないイメージを「かたつむり」の一文字ずつで表現していく作品でした。「か」では硬いという図書館のイメージ、といった筋書きです。

テレビのバラエティー番組風のつくりになっていました。最後に投書箱にそうした意見を投入れて、よりよい図書館になるというようなストーリーだったと思います。全体的にシナリオがしっかりしていてまとまりのある作品でした。(編集ソフトにMovie Makerではなく、Video Studioを使ったのはアンフェアーでした。できる一人の学生ががんばったという印象をもちました。)


 第2班の作品は、内容が内部で3つに分割していました。はじめに客観的なスタイルで図書館を紹介していました。中は女性が出てきてドラマ仕立てのストーリーとカット割になっていました。そして、最後に図書館員へのインタビュー。全体的なまとまりに欠けるものになっていたのが残念でしたが、視線を合わせるカットとか、書架で本を整理する女性のロー・アングルからのショットとかいいセンスを感じました。(また、インタビューという外に出て行く取材は苦労が多いものですから、今回のように撮影状態がわるくとも、とても評価できるものです。)この作品は中盤をのぞけば、全体的にはドキュメンタリー風に仕上がっていました。



 第3班の作品は、ドラマ仕立てといっていいでしょう。3つのなかではもっともまとまりのいい作品でした。映像作品としても一番立っていたと思います。ぶくぶくと深海のようなイメージが図書館に感じられました。図書館の象徴のような人も登場してきて面白いプロットでした。また、本を読んでいる最中にスペインの闘牛になってしまうものいい感じです。もっと突然にシーンをカットするともっと効果的だったでしょう。(たとえば、いきなり橋を走る牛と闘牛士のシーン、図書館で本を読む人、闘牛シーン、なんとなくその本がスペイン本とわかるシーン、というつなぎ順ですね。)(森さんはあの時厳密にはモンタージュ手法を使った作品はひとつもないと言っていたが、ここのところはもうすこしでモンタージュの手法でした。)(「アトラクションのモンタージュ」という記事を雑誌に書いたロシアの監督エイゼンシュテインは「ストライキ」という作品で警察スパイの顔を狼とかにダブらせたりする象徴的表現や、労働者虐殺と牛の屠殺のカットバックとかを使っています。)



 3作品を通じていえることは、短い期間とデジカメというローテクでありながら、よくまあこれだけの作品を仕上げたものだということです。



 大学生がつくった映像作品という観点で見れば、作品としての自立性が乏しかったという評価がされましょう。また、学校図書館の魅力を伝えるという点ではどうだったか?学校司書がいて生徒がいて先生がいて、それをどう伝えるかというメッセージ性の観点からいうと、学校図書館のまなまなしくも生き生きとした活動を描写していない、という反省点が出てきます。



 ともあれ、映像作りを楽しむという副題はかなったようです。それは上映会の学生諸君の充実した表情や笑顔でわかりました。ただ単に、映像作品を完成させたという充実感だけでなく、グループでの制作でしたから、協同でなしとげたという達成感があったのだと思います。


 この授業をつうじて友達をつくった学生もいるはずです。



 この人の役に立つには自分はどんなスキルが必要か?自分自身で学ぶことが結果としてこの人の役に立つ。いい授業でした。(報告:中澤邦治)

2007年12月9日日曜日

12月例会のお知らせ

12月のkmnpas例会は、法政大学の司書教諭課程の授業「情報メディアの活用」とのあいのりで行います。

当日は、学生が授業を通して学んだことを、「学校図書館の魅力」というテーマの映像作品にして公開します。3分前後の短い3つの作品が上映されます。それらを鑑賞した後、さまざまな視点から批評し合います。

どなたでも参加出来ます。是非いらして下さい。

日時:2007年12月22日(土) 15:30~作品上映

場所:法政大学多摩キャンパス 4号館<社会学部A棟501教室>

2007年11月23日金曜日

「うめ版」にインスパイアーされて「自分版」を作るワークショップ楽しかったです。

最初に好きな写真をそれぞれ選んで、それに新明解他好みの辞書の言葉をマッチングさせるワークショップを行った。
この時点で、参加者の形態は以下の3様に分かれた。
1.事前に自分で写真と辞書の言葉を準備して来て、自分版をプレ
  ゼンするばかりになっている人
2.事前に自分で写真を準備して来て、その場で新明解を紐解く人
3.まったく手ぶらで来て、参加者が持ち寄った写真から好みのもの
  を選んで、その場で新明解を紐解く人

Kmnpas07111 プレゼンテータの二人、宮さんと小野さんが「仕事中も、寝ているときも、木を切りながら、花の手入れをしながらいつも『自分版』のことを考えていた。」「新明解を、あ行からすべて読み始めようとした。」「図書館で言葉を捜してはっと気付くと何時間も経っていた。」などと語るのを聴いて、これは、こだわり始めたら時間がいくらあっても足りないぞということで、一旦30分で時間を切って、その時点で出来上がった作品をみんなで鑑賞しようということになった。

Kmnpas07113 Kmnpas07112






各自30分間の集中ぶりは凄かった。

Kmnpas07114ちなみに、私は3作品作った。




さて、出来上がった作品を言葉からすべて辞書的に配列する。
そして、あ行から順番に、写真と言葉と辞書からくまなく書き写された説明を並べて見せながら、淡々と文字を読み上げる、という方法で鑑賞会が執り行われた。

Kmnpas07116



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なるほど!と思うのも、?なものも、どっひゃーなものも、いろいろ。
なるほど!なものも、?なものも、どっひゃーなものも、人によって違う。
面白い。Kmnpas07115





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遅れて来た参加者も居るので、次に、一つの写真を選んでそれぞれが言葉をマッチングさせるワークショップを行った。なるべく難しい写真にしよう!ということになった。
選ばれたのは水族館の水槽を浮遊する鸚鵡貝のカラー写真。Kmnpas071110

全員うんうん唸りながら、「難しいよ~」と悪態をつきながら取り組む。
辛いワークショップは実に楽しい。

その結果出てきた辞書的なる言葉の数々は、一つとして重なることなく、何とはなしに、その言葉を選ぶ人の世の中を見る視角みたいなものがあぶり出されている感じがしたのだった。

Kmnpas071111今回、予期せぬスペシャルな参加者があった。ブログを見て「うめ版」を編集した当の編集者、三省堂の石戸谷直紀さんが参加して下さったのだ。勢い、議論は本家「うめ版」をめぐりながらのものとなった。


「うめ版」を作る時に、なぜその言葉を選んだのかについて一言書きたくなる場合があった。「うめ版」では解説は無いんですね。
I:解説の有無については企画の早い段階で無しということが決まりました。コラボレーションもののあり方として、例えば、できあがった作品や製作過程についての対談を入れるというような手法があるけれど、今回はそれもしませんでした。これはこの企画全体を貫くコンセプト「潔く作る」ということとも大いに関係があります。
つまり、あまり手を加えないということで、写真もノートリミングなんですが、これは梅さんのたっての希望でした。今回の梅さんの写真は横版が多いんですよ。しかも梅さんの希望の判型はたて。そうするとすごい余白が出来ちゃう。ぼくとしては、その分写真が小さくなるからもったいないと考えてしまう。そこにせめぎあいがありましたね。せめぎあいの結果、とてもシンプルなレイアウトになりましたが、ここにも梅さんとデザイナーの潔さが出ていると思います。
N:辞書の解説は全部載せているわけじゃないでしょ?ずいぶん長いのもあるし説明の1番と2番では写真とのマッチングがずれる場合があるし。
I:全部載せてます。これもノートリミングです。文字量の制限上の省略はありますが、恣意的なカットや強調はなしです。

「ウケをねらわない」
N:やらせじゃないのか!と思うほどぴったりのマッチングがあって。
I:そう、よく言われます。でも、そうじゃない。小野さんが言っていたように、自分も「うめ版」を作っているときは、夜中に布団の中でものすごくいい言葉を思いついてがばっと起き上がるなんてことがしょっちゅうでした。で、これは絶対に面白いと梅さんに見せるでしょ?そうするとぜんぜん乗って来なかったりする。そして言われたことは「笑いをとろうとすると面白くなくなります」でした。自分と同年輩の編集者には確かに大うけだったりするんだけど、それがみんなにウケるとは限らない。それが作品の幅をせばめてしまうことにもなりかねません。そういう、ものづくりの根本的なことが梅さんはすごくわかっている。それから、結果的には、言葉ありきで撮りおろすということもしなくって、写真は梅さんの7000点の手持ちの作品の中から選ぶことになりました。

Kmnpas071112 「コラボレーション」
N:今日のワークショップでも感じたけど、写真と言葉のマッチングの屈折の仕方が面白い。プリズム感とでもいうか。
I:「うめ版」では、言葉と写真を合わせる作業は凄い戦いでした。たぶんみなさんもお気付きのように、屈折感がバラバラになっちゃってます。編集者としてのぼくには、綺麗なもの、分かりやすいものを作りたいという傾向がでます。テーマを1本通したり、ジャンルごとに分類してみたり。だけど、今回のコラボレーションを進めていく間に強く思ったのは、写真が言葉を説明する絵にならないように、言葉が写真のキャプションにおさまってしまわないようにしなくてはならないということでした。押し付けではなくて、この本を見た人ごとに浮き上がってくるものが違ってくるようなものにしたいなと。写真と言葉との距離感、屈折感みたいなものから立ち上がってくるものが大事というか。
S:文字が一方にあって、写真がもう一方にあって、それらからちょっと離れた高みにある「なにものか」を醸し出すってことでしょ?

Kmnpas07117



「メディア・リテラシー」
T:私は「新明解国語辞典」が好きで好きでたまらなくって、今回のワークショップを楽しみにして参加したんです。でも、「ごろはち茶碗」っていうのをどうしても作りたくって写真をやらせで撮ろうとがんばったけどどうしても撮れなかった。言葉に写真を「当てはめる」のは本当に難しい。
M:今回、「写真の力が好きな私」と「文字の力が好きな私」に図らずも気付かされたような気がする。Tさんは「文字の力派」だね。
O:「うめ版」を見るとどうしても写真のパワーが80%という感じがした。今回のワークショップでは、ちょうどよい加減というか、写真と言葉のパワー的には偏ってなくて、そういうところが面白かった。
M:写真と言葉のコラボレーションという意味で、前もって自分で写真を選ぶところからやる方法より、その場でそこにある写真を選んで言葉をマッチさせる方法の方がよりスリリングだと思った。自分で写真を選ぶ時に、どうしても言葉ありきの部分が出てしまいそうで。今日は特に、一枚の写真にあれだけの異なった言葉が当てられるというのを目の当たりにするというのがメディア・リテラシー的で面白かったと思う。
S:国語とメディア・リテラシーを結ぶキイ概念は「言語化能力」だと言っている人がいる。今日のワークショップのような手法で、まさにそういう授業が出来そうだ。
I:是非取材させて下さい。

かつて、Kjと私は「総合的な学習のガイドブック」を作るに当たって、あまり綺麗に編集されたガイドブックは実は使えないよねと、「ゴツゴツした手触りの」ガイドブックを作ろうと奮闘したことがある。だが結果としてそれは、無残にも綺麗なものに収まってしまったのだった。「ゴツゴツした手触りの」編集は、意図すればするほど難しい!しかし、当初の編集者の意図とは裏腹に「ゴツゴツした手触りの」作品として「うめ版」は出来上がった。それが出版されて、かつ売れている!そんな話を聞けたことが、今回のワークショップのありがたいおまけだ。
文責 松田ユリ子

2007年11月5日月曜日

11月例会のお知らせ

宮さん小野さんコンビによる「じぶん版」ワークショップ開催!

新鋭写真家・梅佳代さんが「新明解国語辞典」とコラボ。独特な観察眼に基づく写真とことば。イミフメイでカワイイ、微笑ましくもどこか切ない。そんな梅佳代さんの本『うめ版新明解国語辞典×梅佳代』(三省堂)

これをまねて『じぶん版』を作ってみた。ムズカシイけどオモシロイ。その作品を見たkmnpasさんに依頼されワークショップを開くことになりました。

日時:2007年11月16日(金) 18:30~

場所:相模原市南新町児童館
   小田急線相模大野駅南口徒歩5分
   南口を出て駅を背に直進、3つ目の信号「相模原9丁目」、「アイ眼科」の角を右に入り左側2軒目

【当日の作業】

1.まずは図書館などで『うめ版』を見てきてください。(当日この本を用意しますので、その時でもOKです。)

2.写真をじーと見て、みえてくる言葉を辞書で引き、意味を読む。

3.これだと思った言葉とその意味を画用紙に書き、写真を貼ってできあがり。

【ルール】

1.写真は何でもOK。(できれば自分で撮ったもの)

2.辞書も何でもOK。英語でも何語でもOK。


【お試し】

写真がない方は、こんな写真を使ってみてください。Photo_2



2005_05260034



2007






2005_daikon









【持ち物】

1.プリントした写真(こちらでもいくつか用意します)

2.辞書

3.サインペン

【メールで参加】

当日来られない方はwordに言葉・意味を書き、写真を貼り付けたものを送ってください。プリントアウトして当日発表します。

あて先:suzylabo[at mark here]jcom.home.ne.jp (14日までにお願いします)

手ぶらで参加もOKです。秋の夜長、楽しいひとときを・・・

事前申し込み不要。 資料代 300円です。

お待ちしています。

2007年10月22日月曜日

10月例会 共感しました。

小山氏のお人柄がジワリジワリと出ていて、その場を楽しむことができました。これこそ、小山氏が力点を置いていた組織の活性化の要である「インフォーマルなコミュニケーション」ですね。

(「インフォーマルなコミュニケーション」は当研究所kmnpasの肝でもあります。君たちはフォーマルになりようがない」とのツッコミがありそうですが。それと、小山氏は当研究所のメンバーでもあります。)

インフォーマルな仕掛けをどのようにフォーマルに入れ込んで、共感の場、共感のネットワークを作っていくか、というのは経験知に基づくものだと思いますが、「お人柄がジワリジワリと出てい」るなあと感じさせる小山氏は表と裏のネットワークの達人です。

一言でいうと「しなやか」なんですね。

はじめの資料見学のときに「持続可能な開発」関係のコーナーに小山氏が言及しましたが、これが妙にわたしの頭に残っていて、その後の話とリンクしてました。「持続可能性」とか「持続可能な社会」といったことを組織論として考えるたときに「面白さ」は外せないキーワードの一つだなあ、と話しを聞きながらつくづく感じました。メディア・リテラシー教育を考える上でも、「面白さ」を外したら持続可能性は失われるのでしょう。

公共空間の1つである学校に「面白さ」を持ち込むのもなかなか難しいですが、メディア・リテラシー教育それ自体がその部分を担うものとして機能するのもいいんじゃないかなあと思います。でないと、学校の持続可能性だって危ういですよね。

「持続可能性」という用語の濫用だとしたらすみません。因みに「持続可能な」という"sustainable"の訳語は「しなやかな」と思い切って訳しちゃったほうが良かったのでは、その方が持続可能だと思いませんか?(中山)

10月例会報告:「館」メディアってやっぱり「人」なんだよね

今回はプレゼンテータの小山紳一郎氏の本拠地 あーすプラザを会場に、「館」メディアについて考えた。

まず、情報フォーラムをツアーする。Imgp2292Imgp2293ここでは国際理解、多文化共生という切り口で集められストックされた情報を市民にサービスしている。
図書や雑誌ばかりではなく、教材も借りることが出来る。



各自治体・学校で作られた多言語リーフレットやパンフレットが言語別にファイリングされている。Imgp2304Imgp2303すぐに役立つ生活情報に特化した多言語ファイルも充実している。 軽い打ち合わせが出来るコーナーも、定期的に日本語講座や外国語講座、あるいは教育相談を行うスペースもある。
そして、NGO情報アーカイブである。市民活動の貴重な記録として、NGOニュースレターをアーカイブしているのだ。
ニースレターなど、消失しやすい紙メディアをアーカイブ化する意義は大きい。現在索引のデータベース化がすすめられている。

続いて、小山氏のプレゼンテーションを聞く。Imgp2306 前半は、地球市民かながわぷらざの施設運営の考え方、後半は公共空間を面白い場にするために何が出来るか ということなのだが、とにかく一言でまとめるのは困難な芳醇な内容が詰まったプレゼンだったのだ。



印象に残った言葉を並べることにする。

■情報を届けるということについて 

情報を届けるには通り一遍に置いておいてもダメ。資料を手渡しして説明することで、初めて情報が届く。人が最大のメディアだ。
キイパーソンを通してインフォーマルネットワークを活用する。
エスニシティの特性を使って、それぞれのメディアや彼らが集まる場面で情報を届ける。

情報は「生命線」だ!
情報を出すことで、潜在的な情報ニーズが掘り起こされる。供給が需要を生む。
例えば、opac的なものを用意してキイワード検索出来るようにしてもこれは「待ち」に過ぎない。プッシュ型の供給を行うこと。プッシュ型は、もっと個人的な「印象」をblogで発信するようなこと。ここに需要が生まれる。

■図書館員に欲しい視点
住民の潜在的な情報ニーズに応えているか
住民とは誰か?

「生き物」としての情報が自然に集まるか
ネットワークを日頃から増やしているか?
書籍情報は古い。最先端の情報は市民活動の中にある。

情報を「フロー」ではなく「ストック」と捉えているか

何だかんだ言って、図書館や博物館はポテンシャルがある。NPOセンターは資料の量が少ない。ポテンシャルのある場所で働く図書館員を生かさないのはもったいない!
図書館員はもっと身体的、共感的に「住民」を知ることを目指すべき。
とにかく一緒に何かやるといい。演劇的ワークショップとかいいかも。

■公共「館」を面白くするために
働いているスタッフが仕事を面白いと思っているか
館のトップが熱いか、ネットワークを豊富に持っているか
組織原理に捉われない自由な発想、異なる価値観(=風)が吹き抜けているか

さて、

感想を聞くと、参加者それぞれに自分に引きつけて感じ入る言葉があったようだ。
そういう意味で議論にはならず、共感の空気に満ちた会になった。
図書館情報学の院生や留学生、普段は遠くて参加出来なかった方など、初参加メンバーが多かっただけにもう少し公共空間を面白くするためにはどうしたらいいかということに絞って参加者の意見を聞きたかったと後で思ったが、例によって時間切れで、みんなで場所を移してわいわいやって、インフォーマルネットワークがそこで生まれたから、ま、いいか。

考えてみれば、kmnpasがインフォーマルネットワークメディアそのものなのだった。

(松田ユリ子)