2005年4月3日日曜日

「日本の、これから」

NHKの番組「日本の、これから」は面白かった。ホリエモンが出てることは、フジや日本放送に出してもらえないけどNHKには呼ばれたぜみたいな思惑も感じさせてそれなりにウケたけど、本当に面白かったのは、出演者の顔ぶれでも議論そのものでもなかった。



今回のお題は「格差社会」である。例によって、ひな壇状に一般参加者を沢山座らせて発言をさせ、専門家が前に並んで意見を述べ、さらに一般視聴者からリアルタイムでアンケートにメールで答えてもらうという番組の作り方だったんだけど、発言の中で何人もの一般参加者がテレビ、それもNHKの番組の構成自体に言及したことがとても面白いと感じたのだ。
まず、500万で株を買ってそれが5億円になったという女性は、自分が取材されたVTRが、「やっぱりこういう方向で構成されるだろうと思っていましたがその通りでしたね。」と前置きしてから発言していたのが印象的だった。つまり年収2000万の勝ち組としてという作られ方が「構成」されたものであることを述べてNHKにやんわりと抗議。それから、4列くらいあるひな壇の最上段に座っていた女性が「格差が問題というけれど、この出演者はひな壇の何列目かによってギャラが違うってディレクターの方が言うんですよ。NHKは格差社会だ!」というようなことをぶちまけた。司会のアナウンサーが素でオロオロしていて、「そんなことはないです。」と言うも、「だって、直接係りの方に聞いたんですから!じゃあみなさんも8970円ですか?」とさらに食い下がり、アナウンサー氏が「いや、それは交通費の違いもありますから。」と答えてなんとかその場を収めるも、出演者同士の私語がしばし止まないスタジオという珍しい光景を映し出していた。でも、KJの話に聞くNHKのお金の使い方からすると、いきなり体質改善されたのかと驚くような安いギャラな感じにビックリ。さらに、年配の男性氏が、「問題に対する答えの選択肢が(1思う)と(2思わない)の2つしかなくて、とても答えきれない。NHKのものの聞き方には工夫が足りない」という趣旨の発言をする。
条件つきYESや条件つきNOがカウントされない仕組みにいらだちつつ観ていた私も思わずテレビに向かってそうだそうだ!と叫んで娘に嫌がられた。ま、嫌がられても、斉藤貴夫と重松清の発言には「そうだそうだ!いいぞ!」と声を掛け続けていたのでありますが・・・。
閑話休題。「アンケートの答えはみなさんにわかりやすいようにこのような形にしています。」というアナウンサーの説明は、視聴者はバカだから簡単じゃないとねというNHK的な思惑がにじみ出ていてそれなりに凄いなと感心したのだったが、それより、後半最後のアンケートではいきなり1そう思う 2まあまあ思う 3あまり思わない 4全然思わない の4段階になっており、意見を聞いて変えたのか?と一瞬思わされ感動した。がそんなフレキシブルな対応が出来るはずないか。偶然かな。そして、「工場経営者」と名札を付けさせられていた男性が発言。「この名札なんですけどね、あちらの方は会社経営者なんですよ。どう違うのかなとさっき話していたんです。つまり、NHKの番組を作る方の頭の中に、「勝ち組」とはいわゆる「会社」の「正社員」というのがあって、それ以外と分けるところから議論を出発させようとしてる。」
一連の発言を聞いていて、番組を構成している側に対する疑義が公然と語られるようになった事がいいなと思った。
視聴者はバカじゃないのだ。そんなことにも気づかないNHKはバカだと世間に知らしむる意味でこの番組非常に意義深く面白いものであったと言っておきたい。

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