2008年3月4日火曜日

メル・プラッツ 第六回 公開研究会 参加報告

東京大学 本郷、工学部 2008年2月23日 14~18時
 今回は「あらためてメディアリテラシーを問う」と題して、今までの振り返りを中心とした学習会でした。発表者が何かを提示するというかたちではなく、6つのテーマに分かれて参加者が議論を交わし、最後にそれぞれのグループが発表するという形式です。2時間以上話し合いの時間が確保され、多くの方と話す機会ができてとても楽しい会でした。
 6つのテーマとは以下の通りです。
 「メディア・リテラシーという言葉、理論と思想」、問題提起水越伸・コー
ディネーター伊藤昌亮(以下、この組み合わせで記す)。
 「学校教育での可能性と課題」、北村順生・村田麻里子。
 「マスメディア、ジャーナリズムとの関わり」、境真理子・本橋春紀。
 「ポピュラー文化、メディア文化との関わり」、ペク・ソンス・飯田豊。
 「ミュージアム、アート、デザインとの関わり」、高宮由美子・宮田雅子。
 「ワークショップの場づくりの方法、技術との関わり」、水島久光・土屋祐子。
 各テーマの問題提起者がはじめに話してから、参加者が自分の関心のあるテーマに分かれて話し合います。それぞれ十人前後に分かれましたが、移動は自由です。私は「学校教育での可能性と課題」に出ました。
 グループのメンバーは9人で、マスメディア関係者、指導主事、区会議員など多彩な顔ぶれのなか、現職の教員は2人でした。最初に自己紹介をしつつ各自の問題意識を話したのですが、その内容は、一通り発言し終えたときにコーディネーターがあ然とするほどまとまりのないものでした。「出前授業に行くと丸投げされてしまう」、「メディアリテラシーを科目にして、小学校・中学校からやるべきだ」、「生きる力として扱うべきだ」、「特区を取り、「読解力」の授業の中で展開している。教師の負担はあるが、科目を置くことのインパクトは大きい。」、「既存のカリキュラムに追加するのではなく、何かを減らすことも必要」、「メディアリテラシーは教科書にしにくい」、「情報科の教師の意識は低い」、「教師にメディアリテラシーがない」等々。私は社会科教育の立場から必要性と課題を発言しました。
 そもそも何か結論的にまとめるという主旨ではないのでこのような展開は予想はしていましたが、あらためて学校教育でメディアリテラシーを扱うときの課題の多様さと大きさが浮き彫りになりました。しかし率直な感想としては、なぜか「前途多難でたいへんだな」というのではなく、その「たいへんさ」がおもしろそうというか、スリリングな感じを持ちました。あと話題としては、メディアリテラシーを実践していくための予算のこと、教師にメディアリテラシーが必要という話し、教師同士のネットワークがあまりないというようなことがありました。
 全体の発表の場での発言「メディアリテラシーは学校教育に一見関わっているように見えるが、実は水と油なのではないか」は、目からウロコでした。そう、「水と油」だからたいへんなのです。だから私はおもしろく感じるのでしょう。
さらに言ってしまえば、「学校が拒むもののなかには、学校に必要なものがある」、「学校に入りにくいものほど、学校にとって重要なものである」などということを考えたのでした。
 他の分科会の内容は、メルプラッツのサイトに報告が載ると思われますので、そちらを参照してください。
 次回は3月28日(金)17時から、東大本郷キャンパス内にオープンした福武ホールで「学環えんがわワークショップ」を中心とした公開研究会だそうです。
鈴木佳光

1 件のコメント:

  1. メルプラッツのメンバーの本橋です。公開研究会に参加していただき、ありがとうございました。今日、初めてかながわメディアリテラシー研究所のブログ(?)を拝見しました。大変充実した活動で驚きました。
    メルプラッツでは4月26日、27日に、メルエキスポというかたちで多くの方の実践を報告しあうイベントを開きます。ご案内のメールが行っているかと思います(もし行っていないようなら、expo2008アットマークmellplatz.comまでご連絡ください)。ここでの実践について何らかの出展をしていただけるとうれしいです。

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