2006年11月22日水曜日

研究所主催企画 第19弾 12月例会のお知らせ

内容: オノマトフォト・写真を使ったコミュニケーションの授業



報告者:中山周治(神奈川県高校教諭)





日時:20061215日(金)1830 21:00



場所 : 相模原市立南新町児童館



      小田急線相模大野駅南口徒歩5分 南口を出て駅を背に直進、3つめの信号「相模大野9丁目」アイ眼科の角 



      を右折、左2軒目





オノマトフォトとは、オノマトピア(擬音語、擬態語)とフォトをくっ付けた私流造語です。写真を批評する授業をどうつくっていくか、と意気込んだものの、当然のごとく壁にぶち当たりました。そこで苦肉の策でやってみたのが今回の実践です。まずは意見の表明、交換。ここらあたりをうまく、ヨイッショと画策しないと、批評なぞとても覚束ない。



起死回生のアイデアにはなっていないのですが、どこかに見所がないだろうか?ワークショップ形式で「オノマトフォト」に参加してもらい意見交換をしてみたいと思います。



2006年11月21日火曜日

11月例会報告

高橋恵美子さんによる「ブックトークを考える」は予想に違わずとても面白かった。



まず、ブックトークの定義と実践の流れについてのレクチャー。86年の岡山の学校司書のグループによる『ブックトーク入門』以前は、アメリカで行われているブックトークなるものを日本でもやってみませんか?という紹介のされ方のようだ。
1959年、1974年の『学校図書館』にブックトークの実践方法について書いているのはアメリカでの図書館で児童サービスを経験している渡辺茂夫であり、松岡享子であったことに驚く。(そんな古い『学校図書館』バックナンバーが上溝高校図書館に保存されていることにも驚く)
現在、日本のブックトークは岡山理論というか学図研理論というものに理論づけられており、「テーマ性、メッセージ性」がなければならず、「必ず」複数の本でなければならず、単なる「本の紹介」とは違うということが強調されている。しかし、現在アメリカでは、booktalkは、本の紹介も含めて使われる用語だという。



Booktalk 次に高橋さんのブックトークを聞く。テーマは「踊る、ダンス」。 参加者が密かに期待していた高橋さんの踊りは見せてもらえなかったが、ダンサーの書いた本、ヴィジュアル本と小説をバランスよく組み合わせた6冊が語られたのだった。Booktalk1



その後の議論はいい感じに沸騰した。
S:何故アメリカから取り入れたんだろう?
T:1950年代までは日本の図書館は来た人だけを相手にすればいいという感じだった。そこに、アメリカでは図書館員はもっと打って出ているということで紹介されたのかもしれない
R:国語教師としては「本の紹介」と「ブックトーク」を分ける意義がわからない
K:いったい「よいブックトーク」と「悪いブックトーク」ってあるんだろうか?みんなが紹介された本を手に取ることが増えれば「よい」のか?実は違うんじゃないか。みんなが聴いてくれることが目指されているんじゃないか。日本のブックトークは何らかの教養なり知識を伝授する手法なんじゃないの?そうだとすれば半端な教授法なので、「知りたくもないものを詰め込まないでよ」という批判は当然出てくるだろう。そうではなくて、聴いている人が「あんな風に出来たら素敵だ!自分もやってみたい」と思う、そういうものを伝授するものなのか?もしそうなら「読書教育」とは違う。むしろ「スピーチ」の教育か?本には「物神性」があるから、本をメディアとしてなんらかの教養や文化を広める行為 っていう定義の方がぴったりだよ。
S:じゃあ、漫才みたいなブックトークはないの?エンターテインメントっぽいでしょ?
T:アメリカでは対になって紹介し合うということは授業でよくやっているけど・・・
K:12チャンネルのテレビショッピング的ブックトークはありか?
T:とにかく型にうるさいのが日本の特徴。本は必ず見えるように掲げて、テーマに沿って複数の本を紹介するのじゃなければブックトークではないというように。
S:でも、実際生徒に本を選ばせる活動の時は、テーマが先の場合が多いの?本が先なの?
T:やっぱり、テーマが先の場合は少ない。紹介したい本があって、そこから関連の本をどうチョイスするかということで組み立てていくプロセスを司書がアドバイスする。
S:高橋さんは40分のブックトークもするっていうけど、俺だったら、30分もブックトークしたらもったいないと思ってしまう。15分やって、あとの15分を聞き手が行動したり、やりとりする時間にしたいと思ってしまう。何故なら、ブックトークを聴いてると、自分も紹介してみたくなる。とにかくチョイスしたくなる。ブックトークはチョイスの問題だ。選ぶことそれ自体に面白みがある。
J:ブックトークで伝えるものは2つあるよね。1つは「内容」もう1つは「方法」
本の内容を伝えるんだけど、それは例えば大学のゼミでの文献紹介と何が違うんだろう?「内容」だけなら「本の紹介」となんら変わらないし、たとえ1対1でもスリリングな時はある。でも、紹介の仕方、方法自体を伝えているから「ブックトーク」なのかも
「内容の伝え方」ということではまさに「メディアリテラシー」だよね。



言いたい放題が楽しい議論のさなか、敢えてダサい質問を高橋さんに投げかけて見る。
M:結局、高橋さんはブックトークの何が疑問だと思ってこの例会を企画したのか?
T:う~ん。まず、ブックトークはやりたいの。(笑)だけど、例えば、3冊目に山場が来る、明らかに飽きちゃったっていう生徒の存在を意識した場合、それに対して工夫するのか?という疑問がある。
S:俺なんかは、聴衆に任せればいいと思うんだよね。興味のある部分で覚醒するというか、身を乗り出すけど、後は流すでいいんだと思う。それに、テーマってことにもこだわりすぎるのはどうかと思う。今はテーマがウザい時代。なるべくそんなものは無いように振舞う方がクール。時代とともに振れていくものだからまたテーマがかっこいいという時代になるかもしれないけどね。
M:そうすると、今の日本のブックトークの型はもう古い!みたいな感じだよね。「ブックトーク再々考」書いたら?(笑)
公共図書館の司書さん:あまり型とかむずかしく考えないで、今まで興味のなかったものに興味を持てるようになればいいと思う。
M:結構、図書館屋さんは「本と人とを結びつける」ためにって考えてブックトークもやってると思うけど、実は人と人を結びつけるためにブックトークはあるんじゃない?



(文責 松田ユリ子)



2006年11月5日日曜日

研究所主催企画第18弾!11月例会のお知らせ

11月例会はブックトークです。よろしく。



内容:ブックトークを考える ~実演「踊る、ダンス」~



報告者:高橋恵美子





日時:20061117日(金)1830





場所:相模原南新町児童館(小田急線相模大野駅南口徒歩5分。南口を出て駅を背に直進、3つ目の信号「相模大野9丁目」アイ眼科の角を右に入り、左側2軒目です。)





ブックトークは近年広まりつつある本の紹介方法です。もとはアメリカで行われていたものですが、日本ではアメリカとは異なる方法で定着しています。







司書の仕事のイメージを変えた実践法ですが、そのメッセージ性に関しては当初から議論がありました。まずはブックトーク実践の流れをたどり、その後上溝高校での高橋の実践を報告します。







実演「踊る、ダンス」は昨年2年の国語表現で行ったものです。この授業で生徒たちが行ったブックトークについても報告する予定です。







実演「踊る、ダンス」、気楽にお楽しみください。







その上で改めて、ブックトークについて高橋が考えている問題点その他を、参加者とともに考えていきたいと思います。















白雉市民映像祭2006「今、映像教育を考えるシンポジウム」面白かったです。

素晴らしいホールを会場としながら、聴衆にお菓子が回ってくるようなアットホームな雰囲気漂う手作りの会であった。



「学校教育の現場における映像教育の実践」者としてパネラーとなった方々の実践はどれも面白く、映像を交えての1人20分というプレゼンの制約はあまりに短かった。みなさん実践の背景が違うので、その説明が無いと中身に入れないということもあり、せかっくのバラエティに富んだラインナップを充分に堪能出来るディスカッションの時間がほとんど無くなって残念だった。



それでも、質疑応答の中から面白い気づきは沢山得られたと思う。



特に、通信制高校での部活動として生徒と映画製作を行っているKJには質問が集中していた。Photo 「The 通信制高校」という第1作の「上手すぎない」映像の力が、表現を教育の現場で行うことの本質に迫る何かを見る側につきつけるせいかもしれないね~と、帰りの江古田の飲み屋で話していたのだが。



質疑応答は以下のようなものだ。



対話プロジェクトメンバー:映画を作ってみて生徒がどう変わったか?



KJ:生徒が変わったかどうか、あるいはどう変わったかということについての検証方法がよくわからない。ので、そのことは今後の課題だ。ただ、1作目に出演していたYさんが、2作目の映画の原案を作った。でもなかなか撮影が進まない。もう無理して撮らなくてもいいと考えてもうやめようと生徒に話した晩に、Yさんから自宅に電話があって「やっぱりやりたい」というようなことはあった。これはすごいことなんです。思うに何かが変わったかどうか検証する方法なんてない。1つ言えるのはカメラってすごい魔力があるということだ。何故なら、人はそれを向けられると必ず演技をするからだ。これを教育現場で使えないかと思っている。



学芸大学大学院生:授業、例えば総合などでも出来ると思うか?さまざまな制約との兼ね合いは?



KJ:自分はたまたま部活でやったが、総合でも出来ると思う。制約については考えていない。ただ、「しくみ」としてこれを定着させようとは考えていない。この実践は、映像教育としての教育方法論だ。



そして、この大学院生の2つ目の質問が、参加者のさまざまな発言を引き出したのだった。質問は、評価にまつわるものだったと思う。みなさんの実践は表現を扱っているので美術教育だと思うが、評価の部分で美術教育で進めるべき感性と相容れないのではないか というようなことだったと思う。



清水氏:自分はむしろ、「情報リテラシー」を教えている。映像を使って教えるのも、「情報リテラシー」教育のためのさまざまな方法の一つに過ぎない。だから、敢えて映像教育をしなければならないとは考えていない。



小川氏:自分がやっている「対話プロジェクト」はアートだと思っている。生徒がたまたま社会的なものとして捉え、教師が教育の中で引き取って、何かになる、面白そう!というところから始まっている。「対話プロジェクト」はNPOでもなく、NGOでもない、実は「band」じゃないか。「バンドやろうぜ!」という声にどう応えていくかが我々のプロジェクトだと思っている。



佐藤氏:映像作品を評価する時に、2つある。まず、第1段階としては、デザインの評価と同じように、「条件をどうクリアしたか」を見る。そして第2段階で、「あなたはこの作品のどこにいるんですか?」ということを問いかける。つまり、主体性は?視点は?と聞きながら、そこにあるコミュニケーションや本当のものを見る眼というようなものがあるかを問うていくしかない。あなたはこれを作る必要があった?あなたはこれを作って何を発見したのか?ということだ。これらはすべてパッケージ化出来ない教材だ。



コメンテータを務めていた佐藤氏は、発言の中でこんなことも言っていた。



「18歳以下の、全員がプロを目指すということではない生徒たちに対する映像教育では、生徒たちが楽器のように映像を使えるようになるといいと思う。」



他に印象に残った発言では、加藤氏の「市民メディアにとって重要な課題は、地域のマイナスの部分をどうするかだ」というものがある。確かに、地域おこしとしての市民メディアがもてはやされがちだが、地域で「公正」な報道を追及することは可能か?とか「公正」とはどういうことか?とか、自分なりの新たな疑問に行き当たる面白い機会となった。



あ、それと、江古田の商店街の喫茶店「ぶな」はおすすめです。



(文責 松ユリ)



2006年11月2日木曜日

11月3日 武蔵大学の白雉市民映像祭2006に出ます。

 所員の中澤です。



 11月3日(金)文化の日に武蔵大学主催の白雉市民映像祭のシンポジウムに出ることになりました。私が出るのは「今、映像教育を考えるシンポジウム…学校教育の現場における映像教育実践」で、時間は、18:00~20:00です。詳細は以下のとおりです。



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「白雉市民映像祭2006」の御案内
 武蔵大学(東京都練馬区)では、11月の学園祭(白雉祭)期間中の3日、5日に、「白雉市民映像祭2006」を開催します。
 この内、5日のシンポジウム「映像がつなぐ地域社会」は、練馬区と共同で練馬区NPO活動支援センター事業の開始を記念して行います。 講演、シンポジウム、東京ビデオフェスティバル事務局による「市民ビデオの30年史を語る上映会」、全国の映像制作団体による招待作品上映会&活動紹介と盛り沢山の内容ですので、ぜひ多くの方の御参加をお待ちしています。
 なお高校生映像制作ワークショップ、映像コンテストの参加募集をしています。詳しくは白雉市民映像祭のサイトをご覧ください。



[サイト]http://www2.musashi.jp/nnpoc/
[日時]11月3日(金・祝)9:00~20:00、5日(日)10:00~19:00
[会場]武蔵大学8号館8階50周年記念ホール、その他
[費用]無料
[問い合わせ]武蔵大学 企画運営部 企画広報課 公開講座係
       〒176-8534 東京都練馬区豊玉上1-26-1
       TEL:(03)5984-3713、E-mail:pln@mml.sec.musashi.ac.jp



11月3日(金)文化の日
■今、映像教育を考えるシンポジウム…学校教育の現場における映像教育実践
 (18:00~20:00)
〔司会〕
◎松本恭幸
 武蔵大学社会学部メディア社会学科助教授
〔パネリスト〕
◎小川直美
 対話プロジェクト代表
 (http://www.jca.apc.org/taiwa/
◎加藤久晴
 法政大学講師、元東海大学教授、元日本テレビ・プロデューサー/ディレクター
◎清水健太郎
 群馬県立女子大学(情報処理担当)、玉川大学文学部リベラルアーツ学科チ ューター、明治大学和泉AV/ITサポートサービス(プロジェクトリーダー)、 元玉川学園高等部(情報教育で高校生の映像制作を指導)
◎中澤邦治
 神奈川県立高等学校教員、かながわメディアリテラシー研究所
 (http://kmnpas.cocolog-nifty.com/blog/



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時間のある人はぜひ足を運んでください。



また、後日このブログで報告したいと思います。