地域の環境の評価
話題提供者 浜泰一氏
(東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程)
日時 2008年9月12日(金)18:30~ 「評価」という言葉はよく使われますが、その本質は、あるものに社会的な妥当性を持った順位をつけることにあります。 地域の環境は、人々の五感にさまざまな情報を与え、いろいろな認知過程を経て、いろいろな結果をもたらしていると考えられます。環境影響評価法の施行もあり、開発などが行われる前に環境アセスメントは実施されていますが、このような視点での十分な評価は与えられてはいません。 ところで、「子どもを環境の良いところで育てたい」という言葉をよく聞くと思います。人々はただ健康のことだけを考えて、こう言っているのでしょうか?私は、そうではなく道徳的にいい子に育つことを期待して発言しているのではないかと考えています。因果関係が実証できない社会調査などでは、その期待を裏付けるような結果が出ていますが、まだハッキリとは言えないのでアセスメントには使えていません。私は、この影響を地域の環境の評価の中に入れるべきであると考え、その存在や程度の確認を行っています。 社会的ジレンマの典型であると言われている環境問題の解決のためには、自分だけでなく、他人を思いやる精神をもって協力し合うような高い道徳性が重要であることは直観としても理解できると思いますし、社会学の研究でもその効果が確認されています。 地域の環境が人々の道徳性に与える影響は、親のしつけなど、他の要素が及ぼす影響に比べて相対的に小さいと考えられますが、実際に確認できれば、地域の環境に対して、本来、評価されるべきなのに見落とされていた新しい視点を与えることができると考えています。 【浜泰一氏 プロフィール】 1965年1月 和歌山県御坊市で生まれる 1983年3月 和歌山県立日高高校卒業 1988年3月 横浜国立大学教育学部数学科卒業、4月から神奈川県立高校教諭に 2006年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程修了 (自然環境評価学分野、環境学 修士) 2008年4月 退職し、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程入学(生物圏情報学分野)
場所:相模原市南新町児童館