2006年12月1日金曜日

Know It All ビデオ講演あれこれ

 11月24日(金)旭区文化センターサンハート(二俣川駅徒歩1分)で、「アメリカの情報リテラシー教育のビデオから」と題した講演を行った。内容は6月例会「アメリカの情報リテラシー教育“know it all”ビデオシリーズを見る」とほぼ同じ内容。



 違うのは、使った2巻、5巻の教材ビデオに対して日本語訳のペーパーがついたこと、2巻、5巻を大学の授業で使ったときの学生の感想がついたことぐらいだ。



 このビデオシリーズを、学校図書館関係者以外の人がいる場所で使うのは、kmnpas6月例会を除けば、今回はじめてといっていい。どう受け取られたのかがとっても気になったのに、当日は講演後の質問も出ずあっさり終わってしまった。そこで月曜日、上溝からの参加者に聞いてみた。





A(英語科):生徒に細かくケアしている。私たちはああいう授業をする訓練を受けていない。いざやろうとしてもやり方を知らない。



ビデオでは地域に出て行って学習を行っている。前任校では、総合学習の際、校長に学校外に出て行くな、と言われた。



民主主義の背景、大事だ。



B(理科):最後のまとめ、気に入った。(民主主義部分ですね-E.T.



大学生のコメントがよかった。



教師も図書館の側もああいう学校図書館の使い方を知るべきだ。





 司書の参加者にも電話してみた。



C(学校司書):はじまる前に同じ学校の教師から、学校図書館がこういうことをやるのか、と聞かれた。教育会館からの挨拶にもあったが、情報リテラシー教育が図書館と関係あるの?からはじまる感じ。





ところで面白かったのは当日の午後、思いついてイギリス人のALTに、このビデオを見てもらい感想を求めたこと。ビデオを見せる前に、聞いておきたかった学生から出た疑問だとか、言葉の確認などもしたが、アメリカとは異なるイギリス人としての反応(?)が面白かった。



D(ALT):(12巻目、学校図書館で演技やコンサートが行われ、歌ったり踊ったりしている点について)イギリスではこういう使い方はしない。すごくアメリカ的だと思う。アメリカの書店はカフェがついていたり、CDが聞けたりするから。



(ライブラリアンはいるのか、に対して)小学校ではいない。



(2巻目、子どもたちが手順表を使って自分たちの作業の進行状況をチェックする。これ、本当に子どもたちが使えると思う?の質問に対して)このアイデアはいいと思うけど、もう少し言葉を工夫するなどしないと、普通の子どもたちには使えないんじゃないかな。使える子もいるとは思うけど。



(5巻目、子どもたちが政治活動をする。このシーン、日本人にとってはとてもショッキングなシーンなのよね、に対して)中国もそうだよね。自由がない。



(子どもが公聴会でスピーチする。)うわー、見たくない、ひどいよ。結局大人が子どもたちを操っている。(manipulateの単語を使ったのが印象的)アメリカはメディアがプロパガンダに終始していて、場合によっては潜在意識に訴えるやり方(subliminal)も使われている。アメリカ人は何も知らないし、心が狭く、宗教的な縛りが強くて、ディベートの授業で取り扱うテーマにしても、イギリスで扱えるテーマが扱えないということがある。僕だったら、このビデオを授業で使うということはしない。ひどすぎる。





 というわけで、実際にはもっと言葉を費やしたアメリカ批判が展開されたのだった。しかも早口でいろいろ言うので、ちょっと待って、早すぎる、と止めたくらい。ニューヨークは別だとも言っていたが、ニューヨーク以外の場所、ディープサウス(深南部)のようなところを例にあげ、アメリカ人は心が狭い(narrow-minded)と、繰り返した。



 彼が言っていたことを正直全部追えたわけではない。イラク戦争が出てきたり、ディベートのことももっと細かく言っていた。確か彼は教職経験があるという話だったし、「僕だったら、このビデオを授業で使うということはしない。」との発言もその経験があってこそなのだと思う。



 実は大学生の感想の中に「やさしい言葉に言い換えるという主旨のビデオだが、やさしい言葉というより、より説得力のある言葉にするということが求められていた。」というのがあり、イギリス人の彼はたぶん、ビデオのこの部分に反応してしまったのではないかと思う。



 あの自転車道路の5巻目、公聴会のような場で子どもに発言させるという手法は、『ライブラリアン奮闘記』(リーパーすみ子 径書房)でも実際にあったこととして記述されていて、アメリカではよく使われる手法だということだが、それってヤラセ的な感じもあり、聞き手は大喜びして拍手喝さいなわけだけど、何かひっかかる気がしないでもない。5巻目のビデオに対するイギリス人の彼の猛反発を面白いと思いながら、そんなようなことを考えたのだった。



2 件のコメント:

  1. manipulate! ここんとこの議論はとことんやりたいですねえ。他のイギリス人にも聞いてみたいし、アメリカ側のそれに対する反応も聞きたい。今度、コピーあったら貸してください。うちのオーストラリア人(辛口)にも聞いてみたい!

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  2. さっそくのコメント、ありがとうございます。次回例会に持っていけるように準備します。

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